(4) 行政の窓口に人を呼べなかった話

サムネイル:ロビーと受付

私は、忙しそうにしていると声をかけられないタイプです。
作業をしているのに、それを中断させてしまうことが申し訳ない気持ちになります。
これまでもずっと、自分が我慢することで他人の平穏を守ってきました。
 

何があったか

6月の中旬、私は田舎の支所(最近は市民センターと呼ぶ)に行きました。
年金の納付猶予申請書を取りに行く必要があったからです。
調べたところ、それは支所の年金窓口にあるそう。

住民票のある町の支所に来るのは初めてでした。
わかりやすい造りなので、窓口の並びが入り口からでも見えます。
しかし、「そういうことあるんだ……」とがっかりする出来事が待っていました。
 

年金窓口の札を見つけ、私は向かいました。
目の前に来て、違和感がありました。

誰も動かない。

誰も。

立ちすくむ1,2秒の内に、脳内では膨大な量の思考が繰り返されます。

「え、俺用事あるんだけど」
「何で誰も動かないの?」
「ほら、窓口に客(?)が来てるんだからさぁ」
「なに? 俺が呼ぶの? 大声で?」
「あの人ら奥でノートPCとにらめっこしてんのに?」
「(ヾノ・∀・`)ムリムリ。そんなことしたら恥ずかしい」

いつまでも(といってもわずか数秒)立ちつくすのもプレッシャー。
窓口の前にある、背もたれの無いソファに座ってもみましたが……窓口の目の前にいても誰も動かなかったわけで。

トイレに行って考えを整理して……早々に帰りました。
とんぼ返りです。
 

できない理由

どうすれば正解だったでしょうか。

まぁ声出して人を呼べってことなんでしょうが。
それができない理由が二つありました。

理由1:恥をかきたくない

そもそも、用事があるから窓口に来てるわけで。
その窓口の担当ってのは、見てるものだと思ってた。
だから、まず「こっちから呼んでいいものなのか」の正解・不正解が問われる。

だけど、こっちが呼ぶとなると、窓口から離れた机群に聞こえるように声を出さなきゃいけない。
図書館ほどシビアとは思っていないが、それは聞こえた人全員の注目を集めることになる。

それに、私は声を出すのが苦手だ。
「これぐらいでいいだろう」と判断した声量では足りずに、聞き返されることだってあった。

気づかれずに、何度か繰り返さなければいけないという想像。
肝心の窓口担当に気づかれず、他の職員が気づかせるようなやり取りなんて、想像するだけで嫌になる。
その通りになったら、すべてを投げ捨てて逃げたくなるくらいだ。

理由2:忙しそうで邪魔できない

忙しそうにしていると、声をかけられずに遠慮してしまいます。
机に向かっていても、ノートPCとにらめっこしていれば、それも同じ。

これは店でも経験した。
電気屋も服屋も家具屋も、肝心なときに店員がいない。
見つけたときは、当然ながら何かしてる。
(用事のある客をいつでも受け入れる役目はないのだろうか……)

声をかけられないのは、自信のなさが原因だ。
「自分は受け入れてもらえないだろう」という気持ちが先行する。
そういう境遇だった。
だから声をかけられない。
相手が受け入れる姿勢を示して、初めて近づける。

店や今回のような行政の窓口では、その心の門を、自ら叩かなくてはならない。
精神的にとても重荷になり、その結果がとんぼ返りだった。

銀行のような番号札とか、ファミレスのボタン(呼び出しベル)でもあればいいのに。
 

さいごに

次に行動できたのは10日後。
いま住んでいる町の支所で用事を終えることができた。
(結局7月になってから社会保険事務所に行くことになったが。)

こっちでは、前述の支所と違ってすでに窓口に訪問者がいた。
ソファの場所も、窓口のすぐ前。
だから、順番待ちしているのが絶対にわかる。

普通なら、「人がいないなら呼ぶ」とそれだけを考えて行動できるんだろう。
用事があるんだから、我慢して帰るなんて選択肢は無い。
正常な人は、私のように深く考え過ぎたりしない。
「どう思われるか」なんて考えてない。

そんな風になりたかった。
日常の場面で、どんな出来事も心の傷になってしまう。
「こんな自分じゃ生きていけない」と、ますます認知が強化されていく。

追伸:つらい話の第二弾。1日で書き上げられたのはよかった。