【3Dアバター制作記録 #2】 下絵・三面図 (2019~挫折まで)

アイキャッチ:アバターの三面図

3Dアバター制作記録:もくじ

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何に使うか

挿絵:3Dビュー上の下絵

ここで用意する下絵は、紙を重ねて絵をなぞるような、モデリングの際に形や大きさをガイドするために使用します。

そのために正面・背面・側面の下絵を用意します。
(これら3種類の画像のことを三面図と呼んでいます。
人物のモデリングには上からの視点は隠れる部分が多く、重要性は低いです。)
慣れている人がキャラクターの頭部だけ資料として配置してモデリングをしているのを見かけます。

[i] 今回は文字通り「下絵」として使用します。画像をポリゴンに投影してモデリングする手法は扱いません。

画力は必要か

自分のイメージを形にするのが大事

形や大きさを参照する目的なので、下絵の精度は高い方がいいです。
しかし、「絵が描けない」という理由でモデリングから遠のく人もいると思います。
(実際、VRoidのような手軽にアバターを用意する手段は有る)

ネット上にはマネキンのような立ちポーズの画像もありますし、ポーズ用のフィギュアでも代用できます。
それらの上から衣装を描けば、デザインの出来上がり。

完成イメージを形にできるとモチベーションが上がるのでおすすめ。

画力という名の知識

画力が不要とまでは言いませんが、「画力」とは言い換えると知識や経験です。
ここで必要になる「画力」は、「違和感に気づく目」だと考えています。

人間は、例えば黄金比のような「見て情報を処理しやすいもの」を「良いもの」だと感じやすいので、違和感が少なければ、必ずしも現実に忠実である必要はなかったりします。
私達は漫画やアニメ・ゲームなどでそういった「ウケのいい比率」を日々目にしており、それを学ぶことで「画力」を代用できます。

人体を描くためのノウハウは、ネット上のイラスト講座が充実しています。
今回はその一部を扱いたいと思います(後述)。

アナログか、デジタルか

Blender上で使用するため、下絵はデジタル画像である必要があります。
私はPCでも絵を描く環境があるのでさらりと下絵の話をしましたが、アナログで描くことも可能です。
紙と鉛筆が描いたものを、スマホで撮影すればPCに取り込めます。
(今はもうスキャナーを単体で持っている人もいないだろう)

PCがあると言っても、マウスでイラストを描く人はなかなかいないでしょう。
下絵のためだけにペンタブレットを購入するのは気が引けるかもしれません。
ペンタブレットがなくても、今ではスマホやiPadでも絵を描くことができるようになりました。いい時代になりましたね。

三面図以外に用意する資料

挿絵:片目を閉じたアバター

目を閉じた状態

シェイプキーを作る際に気付かされたのが、「目を閉じた状態」を「まったく勘定に入れていなかった」こと。
イラストは大体目を開いてカメラ目線になっていて、「目を閉じたときの形」は別に覚える必要がある。

三面図の視点に合わせて「目を閉じた状態」を描いておくといいかも。

表情のバリエーション

下絵としては使いませんが、アニメの設定画のように表情のバリエーションがあると「生きた感じ」が出ます。

よほど強調された表情でなければリップシンクに使うシェイプキーの組み合わせで表現できるので、三面図に合わせなくてもいいと思います。
猫の口(ω)のような「漫画的表現」を実装するなら、どんな大きさや形にするのか、3面図に合わせた資料を用意した方が役に立つでしょう。

衣装の注釈

キャラクターの設定画でよく目にするのが、細部のデザインが隅に描かれていたりすることです。
(自分の頭が理解しているなら、描かなくても平気。)

今回は制作した衣装がシンプルだったので困りませんでしたが、準備がおろそかだと未来の自分が怒ります。

実際に描いたもの

挿絵:実際に描いた三面図

大きさ・ピクセルサイズ

Blenderで使った下絵は、2,048x 2,048ピクセルで作成し、不要な横幅をトリミングしました。
(全身を描こうとする場合、もっと大きいキャンバスで描いて縮小した方がいいと思います。)

(高さ2,000ピクセルがどのくらいかと言うと、フルHD解像度の横幅が1,920ピクセルです。
また、B5サイズの同人誌のカラー表紙を作成するキャンバスが横 2,508px * 縦 3,541ピクセルです。)

正面、側面、背面視点

先に書いたとおり、三面図とは言うものの、真上の視点は意味が薄いので省きます。

横から見たときの腕や、後ろから見たときの髪など、重なって隠れる部分は省略したり、ズラして描いておくといいです。

衣装版と裸体版

アドセンスにBANされないために全裸版の画像は省きますが、人体と衣装を分けて制作するので下絵も両方のバージョンを用意しましょう。

Aスタンスか、Tスタンスか

キャラクターのモデルには基本のポーズがあり、これらは「Aスタンス」や「Tスタンス」と呼ばれます。
(たまにゲームのバグでキャラクターがTポーズになったりするアレ)

Aスタンスはアルファベットの「A」のように指先が下がり、自然なポーズだと言われています。
Tスタンスは腕が水平で作成しやすいポーズですが、(自分の肩を触ればわかるように)肩が上がっている状態であることを知る必要があります。

モデリングを経験した感想は、「Tスタンスの方がラク」でした。
Tスタンスだと3次元上のY軸と平行になるのでラクです。
(腕をY軸に沿って作ったあとで回転させてAスタンスにするのも可能ではある)

人体を描くときに考えること

最後に、人物を描くときに役に立ちそうな「比率」の例を書いておきます。

股間より上≒股間より下

挿絵:全身を二分する比率

私が絵を描き始めたときに、一番最初に気づいた比率。
厳密に1:1にする必要はなく、むしろ脚が長い方がスタイルが良くなる(対魔忍みたいに!)。

個人的には6.5~7等身くらいが好みで、足首からかかとまでの高さを追加することで脚の方を長くしています。

胴体は頭2個分

挿絵:6.5等身の内約

幸運なことに、胴や脚の長さは頭部を目安に測れます。
女性キャラであれば頭2個分の中間がウェストになります。

脚は身長の半分なので、「頭3個分」は測らなくても代用できます。
それより、膝がほぼ中間にあることの方が重要。

腕の長さと手の大きさ

挿絵:腕の長さについて

腕の長さはイラストでも描く人によってまちまちですが、目安があるとすれば、肘とウェスト・手首と股間が同じ高さに来ることでしょうか。
また、「両手を広げた長さは身長と同じくらい」とも言いますね。
(昔の自分の間違った知識で再現しきれてないけど。)

【外部リンク】

顔のパーツあれこれ

挿絵:顔のパーツの比率

顔のアタリ(ラフ)は円や楕円が代表的ですが、中心に置いた十字線よりもしたに目を描く印象です(絵柄にもよるけど)。

目の配置に自信がないときは、ウルトラマンの目のような横の楕円を配置すると手軽です。
図にも書いたように、目と目の間の距離は、片目一つ分だとバランスが良いです。

口の高さは、鼻とアゴの中間という見方ができます。
横から見てアゴの関節と開き方をおさえておくとシェイプキーを作るときに役に立ちます。
口を開くとき、上顎は動きようがありません。そこが口の高さになります。


まだまだ前座ですが、下絵と三面図について知っていることを書きました。
1週間ごとに続きが出なかったら、挿絵を作るのに苦労してると思います。
アイキャッチは前回よりも良くなった!(自画自賛)

→次回:モデリングの準備・座学

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