精神科・心療内科のかかり方を知っておいてほしい理由と失敗談

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内科や外科、誰もが一度は病院で診てもらったことがあると思います。
子供の頃は病院の世話になることが多く、症状というものは同伴した親が説明するものでした。

だから、「病院のかかり方」というものを改めて気にすることになるなんて思ってもいませんでした。
学校が教えてくれない「精神科・心療内科のかかり方」で気をつけることを失敗談とともにお伝えします。

私のうつの影響がひどかった2012年・2013年のネタをようやく形にしました。専門家ではなく経験者の意見ですが、参考になれば幸いです。

医者に診てもらうということ

率直に答えを言えば、次の二つが重要です。

  • 医者は、患者の「症状」を見聞きし、それをもとに治療法を判断する
  • 医者は、病気になった「原因」には関与しない

このネタの下書きをしていたのは、数年前の3月のことです。
だから、医者が何を見ているのか、花粉症を例に挙げてみます。

あなたは耳鼻科に行き、鼻水や目の痛みが止まらないことを医師に伝えるでしょう。
花粉症であることがわかっていれば、そう伝えるのもアリだ。
そして医師は鼻水や目の痛みを和らげるための薬を出してくれます。
(最近では予防するために、予め花粉を鼻腔につける方法もあるようだ)

医者は、患者の「症状」や説明をもとに治療法を判断します。当たり前のことだと思う。
ここで、「そうでないこと」に注目してほしい。

医者が杉の木を伐採したり、無花粉杉を植えたりはしません。
もちろん、空気清浄機の購入を支援することも。

つまり、「医者は原因を知るかもしれないが、原因には対処しない」ということ。
それらが医者の仕事でないことは明白だし、患者もそれを知っています。
そして、それは精神科・心療内科でも同じです。

だけれど、精神科・心療内科にかかるとき、その常識は忘れがちになります。

医者は「症状」に対処するだけ

うつは、何か他の悩みを抱えすぎた結果に起こる副次的なものです。
食欲不振や、食べても味がしないとか、生活リズムの乱れ、日常生活に支障をきたす不安や恐れが起こります。

心の面では、「自分は〇〇だ」「〇〇だと思われているだろう」という事実でないことを気にしすぎます。
想像や妄想。自分が過去に受けた心の傷(トラウマ)も、癒やされないとその後の人生にも影響を及ぼします。

こういった状態・症状では、本人の思考力や判断力が低下することがわかっています。
ですが、患者本人には、それがわかりません

過度なストレスは心の健康を損ねます。
特に、うつのように深刻な症状には家庭環境や職場の人間関係などに問題があり、それが現在進行系で続いていることが多いです。
患者本人には「解決したい」「解放されたい」「どうにかしたい」という気持ちが強く現れます。

先程の花粉症の例を振り返ってみましょう。
医者は、患者の鼻水や目の痛みの「症状」に注目し、治療します。
精神科・心療内科では、「食欲がない」「眠れない」「〇〇が不安」という症状に注目し、これらが治療する対象になります。
医者は、原因には対処しません。

原因をどうにかしたいという目的は、精神科・心療内科では果たせないのです。

失敗談

(1)マジメすぎて失敗した

2012年、初めて行った心療内科で失敗しました。
マジメすぎた(うつだった)私は、「大学でのパワハラや父親の暴力、就職できずに卒業する問題」を解決することしか見えていませんでした。

診察時間では足りない説明を、紙に書いてポストに入れたことがあります。

そして、二度目がなく大学病院に回された(紹介状を書かれた)私は、その理由を訊こうと電話をかけました。
これらは患者としては逸脱した行動ですが、当時はいたってうつ状態でマジメすぎるがゆえの判断でした。

手紙に書いたのは、「問題を解決する上で足りない情報があっては困るから」で、大学病院にまわすという話は具体的な理由を同伴した大学の保険医から聴く前でした。

今でも、あの電話を思い出すと腹立たしくなります。
電話に医者がでると、「chromitzくん、こんなことをすると迷惑だから。切るよ」と強い口調で、3秒で切られました。
この対応に当時の私は激怒し、精神科・心療内科への信用を捨てました。
大学病院にも行きませんでした(血液検査は正常だったし)。

電話で非難された理由を、半分は理解しました。半分は。
精神疾患ってのは、NGワードで表現されるような人間だと思われているんだと実感しました。(基○外とか。)

私は患者の側だったから、医者には「強い口調で非難しなければ通じない」と思われていたのだろう。

しかし、私にとってあの電話は、「マナーの欠けた対応そのもの」です。
私にだって、電話の一般常識はあります。
電話の一般常識を持ちながら、うつになったのです。
だから、自身に非があると認めつつも、あの電話のことは許していません。

こういうことにならないように、「医者は原因を解決してはくれない」ということを知っておいてほしいです。

(2)話を聴いてほしくて失敗した

これは失敗談(1)と少しかぶる話ですが、時間は1年後になります。
大学卒業後の1年、インターネットがなく趣味も挑戦も娯楽もない生活の中で、もう一度だけ病院を頼ることにしました。
ただし、前回とは別の病院を。

前回の反省から、自分自身のことを中心に話すことにしました。
怒りを覚えるような出来事もなく1ヶ月ほど通いましたが、私の中では不満が募っていきました。 

私が気になっていたのは、以下の4つです。

  • 医者が患者と目を合わせない
  • 話せる時間は15分ほどで、待ち時間よりも少ない
  • 2,3週間に一度の頻度である
  • 抗不安薬では意味がない

医者がその不満を察したのかはわかりませんが(症状の報告ではなく相談する傾向があったからか)、カウンセリングをしている機関を紹介されました。
それが、「地域若者サポートステーション」との出会いでした。

サポステには1年ほど通い、精神科・心療内科にかかる以上の変化を手に入れました。
面と向かい、2,3週間に一度、1時間のカウンセリングができました。
認知行動療法を教えてもらい、就職支援とは異なり数字(事業の成果)にならない面談をしてくださったことを心から感謝しています。(これについてはまた別の記事で)

私が不満に思ったことは、医療行為としては正しいんです。
目を合わせない(横を向いている)のは患者が話しやすいようにする配慮だし。

でも、「話を聴いて欲しい」という目的に、精神科・心療内科の治療は適していません。

 まとめると、相談をしたいなら、カウンセリングをしている場所を探した方がいいということです。
病院はあくまで「症状」とその経過を診るところであり、相談する場所も時間もありません。

おわりに

精神科・心療内科のかかり方というものは、普通に生きていれば気にかけるものではありません。
そして説明したように、患者は「症状よりも問題を解決することに没入しすぎる」傾向があります。

何も知らずに病院にかかると、こうしたトラブルによって治療の道が遠のく可能性があります。

私自身の経験から、「病院で出来ること・出来ないことを知っておいて欲しい」という主張で締めくくりたいと思います。

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